会社設立前に決めること

1・会社名(商号)を決める

 

2・事業目的を決める

 

3・本店所在地を決める

 

4・資本金の額を決める

 

5・資本金(株主・出資者)を決める

 

6・機関設計

 

7・事業年度の決定

 

8・会社印を作る

 

9・個人の印鑑証明を準備する

 

10・設立費用を準備する

 

 

1-1・会社名を決めるために知っておきたいこと

 会社名は、起業する人の夢を乗せるような名前にしたいとか、あるいはお客様に覚えてもらいやすい名前をつけたい思われるでしょう。これには、ファイブアイルールというネーミングのポイントがあります。

 

① Impact:一目で覚えられるようなインパクト

② Interest:興味をもたれやすい

③ Information:色々な情報がこめられている

④ Impression:聞いた人の記憶に残り

⑤ Idea:以上を含め優れたアイディアがあること

 

とはいうもののこれらを満たした名前を簡単につけるというのもなかなか難しいと思います。そこで、有名企業がどのようにして名前をつけたか等が参考になる場合もあります。

 

ただし、最小限守らなければいけないルールがあります。

 

1-2.会社名を考えるときのルール

① 例えば株式会社でしたら、会社名のどこかに必ず「株式会社」という文字を入れること。

一般的には前や後ろにつけますが、真ん中でもよいとされています。

 

② 記号・アルファベットも使える

 記号は「&」「’」「,」「-」「.」「・」を使うことができます。

 

③ 「~事業部」など会社の一部門を示す文字は使えない

このほかに銀行でもないのに「○○銀行」という文字を使用するなど混乱を招くものは法律上できません。

 

④ 例えば「NTT」など実績のある有名企業の名前を使うことはできません。③と同じ理由です。犯罪に使われる恐れがあるためです。

 

2.事業目的を決める

2-1.事業目的とは、会社を設立するときには、会社の基本ルールである定款を作成することになります。その中「あなたの会社は何をして利益を上げる会社なのか」ということを書く必要があります。

 

会社は事業目的に無い事業を行うことはできません。そこで、会社設立後、当面の間行う事業だけでなく将来行う可能性のある事業も書いておきましょう。

 

2-2.上記の事業目的は、かなり大雑把に、また何個でも書けることになっています。WEBサイトでも参考になるページがあります。

あとから変更も可能ですが、手数と費用がかかりますので、やはり、あらかじめ可能性のあるものは書いておくべきです。

 

3.本店所在地の決定

3-1.本店所在地とは、簡単に言うと会社(本社)の住所です。

これも定款に書かなければいけません。

 

3-2.本店所在地を決める時の注意

自宅を本店とする場合、賃貸のビルやマンションでは注意が必要です。

中には「法人不可」となっている場合がありますから、十分注意してください。

新規にオフィスを借りる場合でもきちんと「会社を設立する」目的で借りることの承諾を得ることが必要です。

 

4.資本金額を決める

4-1.会社設立のご相談を受けるとき、資本金はどれくらい必要か?というご質問が必ずあります。この点につきましては、現在の会社法では1円でもよいことになっています。しかし、実際には会社の事務用品や事務所の不動産契約、会社実印など様々なものが必要です。

 会社運営に必要な物をそろえたうえで、最低でも一月の運転資金の6か月分くらいはほしいところです。

 

4-2・資本金を決めるときの注意事項

①資本金が1000万円を超えると初年度から消費税が加算されます。

通常設立初年度は消費税が免除されますが資本金が1000万円を超えるとこの特例は受けられなくなります。

 

②創業融資は自己資本の2倍までしか借りられない。

資金調達の一方法として政府金融機関から創業融資を受けるという方法があります。この創業融資は資本金の2倍までしか借りることができません。

 

5.資本金(株主・出資者)を決める

5-1.創業時の資本金を誰が出すかによって設立方法が違う

設立時の資本金をどのように集めるかによってその後の設立の流れに違いが出てきます。

①発起設立:(一般的な会社設立方法です。)

 お金を創業メンバーで出し合って資本金に当てるようなケースです。株式会社の場合、株式会社設立時に発行する株式の全部を出資比率に応じて各創業メンバーが持つことになります。

 合同会社の場合は、創業メンバーの損益配分は出資比率によらず、メンバー間で自由に決定することができます。

 株式を発起人で持ち合うことになりますので経営の意思決定が迅速になり。より業務に集中しやすくなるので、9割の株式会社は発起設立です。合同会社名お金を出す人が経営に携わる人なので、必然的に発起設立のみとなります。

 

②募集設立:発起設立と違い、投資家などに声をかけて出資をしてもらう方法です。申請の際、別途書類が必要になるなど手続きがやや複雑になります。

 

6.機関と役員の決定

6-1.機関設計とは、会社の意思決定や業務の執行をする代表取締役、監査役、会計参与などをそれぞれどの発起人がどの役職に付くかを決めることです。

 

6-2.株式会社の場合、機関設計は極端に言うと「取締役会」をおくかどうかという部分だけを考えるとよいと思います。

 では、具体的にどうするか?ということですが、取締役会を置くメリットは経営判断が速くなることです。もし、取り締まり会を置いていなければ、あなたの設立する会社に出資者が複数いる場合、株式の新規発行など会社に関する重要な決定をするときに、わざわざ株主総会を開く必要が出てきます。

 わざわざ株主に集まってもらうというのは結構大変なことですし、株主からあなたの判断を否定されることもありえます。

 

 株主総会を置かないメリットは、自分ひとりが株主で取締役のような形の会社設立の場合、機関設計を迅速に終わらせることができるという点です。

 

 例えば、あなたの身内だけから出資を募っている場合は、取締役会を設置しなくても会社の運営上大きな問題は出にくいと思います。逆に出資者に身内以外の人がいてあなたの経営判断に反対する可能性がある場合は取締役会を設置しておいたほうがいいでしょう。

 

6-3.合同会社の場合

合同会社の場合は株式会社とは大きく異なります。したがって、規模によって監査役などをおかなければならないということはありません。考える必要があるのは以下の3点です。

 

①代表社員:出資をして業務を行い会社を代表する社員

②業務執行社員:出資をして業務を行う社員

③社員:出資をして業務を行わない社員

 

 原則として出資をした社員は、業務執行社員であり代表社員となります。しかし、会社の代表が複数いると取引相手は誰が代表かわからず混乱してしまいます。そのため代表社員を1人に決めることが多いです。

 また、合同会社では

業務の執行や意思決定は、業務執行社員の間で行います。そのため、業務執行社員が多い場合は経営の意思決定に手間がかかってしまうようになるため、業務執行社員を指名することができます。

 

そのため、合同会社設立前の段階で、「誰が会社の代表を勤めるのか?」「誰が経営や業務などの業務執行権を持つのか?」をしっかりと決めておきましょう。

 

7.事業年度の決定

7-1.節税に関連した事業年度の決め方

 日本の場合、多くは4月を期首として新しい年度をスタートし、翌3月末を期末として事業年度を定めています。しかし、必ずしもそれにこだわる必要はありません。

 

 一つの考え方ですが、売り上げが一番多い月を期首にするという方法があります。

 

その理由は

① 広告宣伝費などの顧客獲得に使う費用を調整しやすい

② 早い段階で役員報酬を変更できるため節税につながる

③ 顧問税理士がいる場合、ゆっくり節税アドバイスを受けられる

 

 

7-2.消費税免除期間を基準に事業年度を決める

 毎月の売上に変動が少ないビジネスモデルの場合は、消費税対策を基準とするのも良いでしょう。資本金が1000万円未満の会社は、消費税の支払いが最大で2事業年の間免除されます。(但し、1期目の売上や給与等も関連しますので注意が必要です。)創業時の資金繰りが厳しい間には、この消費税の免除はかなり助かります。

 

 そのため、「法人登記が10月だから、期首も10月に設定する」というように、消費税免除の期間を延ばすような事業年度設定も選択肢の一つです。そうすることで、最大約2年間の消費税の免税期間を得る事が可能です。

 

8.会社印を作る

会社には4種類の印鑑が必要です。

 

① 代表者印(法人実印):法務局に届けを出して登録をすべき印鑑です。形態に規則はないのですが、通常は直径18mmの丸印が使われます。

 

②銀行印:銀行の法人口座の開設や、手形や小切手の振り出しに使うものです。銀行員は経理担当者に持たせることが多いため、代表印とは別に用意しておく方が良いでしょう。代表印と区別するために、少し小さめのものを用意するのが一般的です。

 

③社印(角印):社印は、見積書や請求書、領収書などの代表印を押すほど重要ではない書類の押印に使います。通常、角印が好まれます。

 

④ゴム印(横書き):ゴム印は、各種契約書の署名欄やなどに自筆でサインする代わりに使用できる印鑑です。通常、本店所在地、電話・FAX番号、会社名、代表者名が彫られています。

 

 

9.個人の印鑑証明

 会社を設立するときの書類には、発起人各人の記名や押印、そして印鑑証明が必要になります。まだ、持っていないのであれば、早めに用意しておきましょう。

 

 印鑑を用意したら市区町村役場で印鑑登録を行えば、実印が登録されることになります。すると、印鑑証明書を発行してくれるようになります。

 

会社の設立手続きには

①定款の認証を受けるとき(合同会社は定款の認証が必要ありません)

②設立登記のとき

 

に印鑑証明が必要になります。

 

したがって印鑑証明は2通必要になります。(合同会社の場合は1通)

定款の認証時には提出日から6か月以内のもの、設立登記時には3か月以内のものが必要です。

 

10.設立費用の準備

10-1.会社設立に最低限必要な額は?

 

株式会社の場合

①定款に貼る印紙代:4万円

②公証人に支払う認証手数料:5万円

③定款の写し(謄本)手数料:約2千円

④登録免許税:15万円

合計約24万2千円

 

合同会社の場合

公証人に支払う手数料は不要なのと登録免許税が6万円なので

合計約10万2千円

 

10-2.手続きを行政書士に依頼する場合の費用

 今までの金額は、全てご自分で準備し、申請を行った場合の費用です。

 その時間と労力を営業その他のことに使いたいという場合は、行政書士など専門家に依頼するのも一つの手段として有効です。その場合は概ね10~15万円ほどかかります。

 ただ、行政書士等の専門家の中には、電子定款に対応している事務所もありますので、定款に貼る印紙代4万円がかからない場合もあります。

 

 自分ですべてやって費用を節約するか、専門家に任せて時間を節約するか、よく考えて決定しましょう。